【ローヤルゼリー】ミツバチと蜂蜜について【プロポリス】

【ローヤルゼリー】ミツバチと蜂蜜について【プロポリス】

私達がパンに塗る、ヨーグルトに混ぜる、紅茶に入れる、その他料理の味付けに使われているはちみつ、健康食品、化粧品の成分に含まれるローヤルゼリーやプロポリスがありますが、それらを集めているのはミツバチたちです。

その他にも農作物の受粉を助ける、蜜蝋を得られる、健康食品としてのビーポーレン(ミツバチの集めた花粉)、毒の中に含まれるメリチンという物質は、まだ実用段階ではないものの抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)物質としての性質を持っているということで、エイズ治療に役立ちそう、と期待される等、私達人間に利益をもたらしてくれている存在です。

前回、スズメバチについてまとめたので、今回はミツバチについてまとめようと思います。

ミツバチについて

ミツバチは、ハチ目ミツバチ科ミツバチ属に属する昆虫の一群で、花の蜜を加工して蜂蜜として巣に蓄えるのが特徴です。現在世界に9種類が知られ、養蜂に用いられるセイヨウミツバチには24の亜種が存在しています。

ミツバチの種類

コミツバチ……東南アジアから南西アジアに分布。体の大きさはミツバチ属の中で最も小さい種です。

クロコミツバチ……東南アジアに分布。

オオミツバチ……東南アジアから南アジアに分布。オオミツバチ亜属はミツバチ属の中で最も大きい種です。

ヒマラヤオオミツバチ……ヒマラヤ地域に分布。

セイヨウミツバチ……ヨーロッパ・アフリカに分布。世界中に移入され、近代的養蜂で主に用いられています。

トウヨウミツバチ……アジア全域に分布。

サバミツバチ……マレー半島及びにカリマンタン島に分布。ボルネオミツバチと表記されることもあります。

キナバルヤマミツバチ……カリマンタン島に分布。

クロオビミツバチ……インドネシアのスラウェシ島に分布。

アフリカミツバチ……セイヨウミツバチの亜種。アフリカ東部から南部が原産。

二ホンミツバチ……トウヨウミツバチの亜種。

 

生態

新世代の女王蜂の羽化を目前にした巣では群れの分割(分封)が起こり、旧世代の女王蜂は働きバチを引き連れて新しい巣を探して出ていきます。この時、女王蜂の周囲を働き蜂が取り囲んで塊になる様子を分封蜂球(ぶんぽうほうきゅう)と呼びます。

ミツバチの働き蜂はすべてメスで、通常メスの幼虫は主に花粉と蜂蜜を食べて育ち働き蜂となりますが、働き蜂の頭部から分泌されるローヤルゼリーのみで育てられたメスは、交尾産卵能力を備えて女王蜂となります。雄蜂は巣の中では働き蜂に餌をもらう以外特に何もしません。働き蜂と比べると体が大きく、働き蜂や女王蜂よりも複眼と単眼が非常に発達している点が特徴です。

雄蜂は英語で「Drone」(ドローン)と呼ばれるそうですが、意味は「怠け者」という意味だそうです。

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雄は女王蜂と交尾のため、晴天の日を選んで外に飛び立ち、空中を集団で飛行します。

女王蜂はその群れの中に飛び込んで交尾を行い、一生の間で使用される精子が蓄えられるまで交尾を繰り返します。

交尾後は女王蜂は巣に帰還し、雄蜂は交尾後に死亡するか、繁殖期の終わりに働き蜂に巣を追い出される等で死に絶えてしまいます。

毒に対する耐性は弱く、ショウジョウバエの半分程度とされています。

セイヨウミツバチの成虫の寿命は、女王蜂が1年から3年(最長での例が8年)、働き蜂が最盛期で15日から38日、中間期は30日から60日、越冬期が140日、雄蜂は21日から32日ぐらいです。

ミツバチのダンス

ミツバチは巣の上を8の字を書くように歩く行動をする時がありますが、養蜂や動物行動学ではこの行動をミツバチのダンスと呼んでいます。

このようなダンスをすることでミツバチ達は、巣の仲間に蜜や花粉、水源、新しい巣の予定地を知らせることができます。

ミツバチのダンスは多様な資源を収集するのに適した場所で、他の蜂を集めて調達を成功させる手段なのです。

かつて8の字は遠距離用、丸型は近距離用と考えられてきましたが、丸型は8の字の短縮版である事が判明しました。

巣の構造

ミツバチの巣は、自然状態では巣板と呼ばれる鉛直方向に伸びる平面状の構造のみで、ミツバチが利用した空間の形によっては巣板が傾いている場合もあります。

巣板の数はミツバチの種類によって異なり、養蜂に用いられる二ホンミツバチやセイヨウミツバチは複数枚の巣板を形成し、自然の中でも十枚以上になることもあります。コミツバチなどは巣板を一枚しか作らないため養蜂向きではありません。

ミツバチは巣板を防御する構造物を自ら作らず(スズメバチの巣の外皮のような物)、家屋の隙間や床下、木の洞などもともと存在する外壁を利用します。都市部では巣板がむき出しになった巣が見つかることがあります。
巣板は中空の六角形の柱が平面状に数千個接続した構造で、ハニカム構造(蜂の巣という意味)と呼ばれています。強度に優れ、材料が少なくて済む特徴があります。

六角形の部屋は厚さ約0.1ミリの壁で囲まれており、奥行きは10~15ミリあります。底の部分は三角錐で、巣板の材料はミツバチの腹部にある蝋腺から分泌された蜜蝋です。

幼虫を育てる部屋の奥行きは10~15ミリですが、蜜の貯蔵に使用する部屋の奥行きにはバラつきがあり、20ミリ程度になる場合もあります。

養蜂の歴史

蜂蜜や蜜蝋、花粉を採るためにミツバチを飼育する方法が養蜂です。

採蜜は一万年前頃にはすでに始まっていたそうです。日本では平安時代、宮中への献上品の中に蜂蜜についての記録があります。

江戸時代になって巣箱を用いた養蜂が始まったとされ、明治時代に入り、西洋種のミツバチが輸入され、近代的な養蜂器具も導入されて養蜂が盛んになりました。

戦後、郊外の開発が進んだことにより、都市周辺農家の廃業、転業が相次ぎ、また関税の大幅な引き下げ、メキシコとのFTA(2003年)により蜂蜜の関税が撤廃される等を背景に安価な輸入蜂蜜が急増により日本国内の養蜂産業は衰えを見せている状況です。

19世紀までは、蜂蜜を得るためには巣を壊して巣板を取り出すしか方法がなく、飼育コロニーは壊滅を余儀なくされました。

1853年、アメリカ合衆国のラングストロスが自著『巣とミツバチ』において、継続的にミツバチを飼育する技術である近代養蜂の方法を編み出しました。

可動式巣枠を備えた巣箱や、蜜を絞るための遠心分離機の発明で、近代的な養蜂業が確立しました。

現在まで養蜂の基本的な方法は、ラングストロスの方法と変わっていません。

蜂蜜について

蜂蜜はミツバチが花の蜜を採集し、巣の中で加工、貯蔵したものです。糖分が約8割、水分が約2割で構成され、ビタミンやミネラル等の栄養素をわずかに含みます。味や色は蜜の素となった植物によって変化します。
人類による生産量は、世界全体で年間約120万トンと推定されています。

蜂蜜の素になる花の蜜は、メスのミツバチによって集められます。採集された花の蜜はショ糖液、つまり水分を含んだスクロース(ショ糖液)の状態で胃の全部にある蜜嚢(蜜胃)と呼ばれる器官に蓄えられます。蜜嚢がいっぱいになると蜂は巣に戻ります。

蜂蜜はミツバチが花の蜜を集めたものと思いがちですが、蜂蜜になるまでにミツバチによって貯蔵・加工されて素の花の蜜から変化しています。

まず花の蜜は糖度が低く、ミツバチが採集した段階では40%未満ですが、巣に持ち帰った後、水分の発散が行われて蜂蜜の糖度は80%前後に上昇します。

また水分を発散させる一環として、ミツバチは巣の中で口器を使って蜜を膜状に引き伸ばしますが、この際、ミツバチの唾液に含まれる酵素(インベルターゼ、転化酵素)が蜜に混入し、その作用によって蜜の中のスクロースがグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解されます。

蜜源植物はミツバチが蜂蜜を作るために花から蜜を集める植物で、主なものにレンゲ、レモンバーム、ニセアカシア、ミカン、クローバー、ソバ、クリ、ラベンダー、コーヒーノキ、ユリノキ、トチノキ、シナノキ、カラスザンショウがあります。

蜂は基本的に植物由来の蜜を集めますが、天候の不良などで蜜の収集が捗らない場合、様々な糖を集める習性があります。

ゴミ箱に捨てられていた空き缶のジュースの残りから、食品工場の廃棄物から集めたりといった事例があり、その場合、材料に由来した色彩の蜜になるそうです。

チョコレート工場やマラスキーノ・チェリー(チェリーの砂糖漬け)工場の廃棄物から蜜の材料を集めた蜂によって、赤色や青色をした着色剤入りのカラフルな蜜ができることがありますが、こういった蜜は商品価値がなく、養蜂家の悩みの種になっているそうです。

蜂蜜で注意するべき点として、乳児には与えないことです。日本国内の販売製品には『一歳未満の乳児には与えないようにしてください』という注意書きがありますが、これはボツリヌス菌による中毒を防ぐためです。
『生ものなので……』という文言で始まる場合もありますが、ボツリヌス菌は芽胞と呼ばれる防壁に守られているので普通に加熱しても殺菌・滅菌はできません。(高温高圧の状態でなら滅菌可能)

乳児は腸内細菌による体の防衛システムが未完成な状態のために、ボツリヌス菌の芽胞の発芽を抑えられず、毒素が出るのを許してしまうのが原因です。

また、専門の蜂蜜採集業者による中毒報告例は極めて少ないですが、蜜源植物として意図しない有毒植物からの蜜が混入している事があり、食中毒例として報告されています。

例としてトリカブト、レンゲツツジ、ホツツジの花粉や蜜は有毒ですし、ニュージーランド産ではドクウツギ科の低木が問題になる他、世界的にツツジ科植物の有毒性は古くから知られています。

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ローヤルゼリー

ミツバチの若い働き蜂が花粉や蜂蜜を食べ、体内で分解・合成し、上顎と下顎の咽頭腺や大腮腺から分泌する乳白色のクリーム状の物質です。幼虫・成虫の時期を通して女王蜂に与えられる物質で、豊富なたんぱく質の他、果糖やブドウ糖、脂肪、ビタミン、ミネラルなどが広く含まれています。女王蜂生涯のエネルギー源となる物質です。

働き蜂と比較して成虫の女王蜂が、体の大きさは2~3倍、寿命が30~40倍、毎日卵を約1500個も産み続ける能力を持つ事を考えると、栄養の豊富さは一目瞭然です。

ローヤルゼリーは、1900年代よりヨーロッパ各国で本格的に研究されるようになり、その効能が世界でメジャーな存在として認知されるようになったのは、病に倒れたローマ教皇の病状を回復させた事でした。

1955年にローマで開催された国際医学会にて発表後、1958年、イタリア(ローマ)で開かれた第12回国際養蜂会議で、教皇自らミツバチを称えるスピーチを行いました。

日本では1959年、週刊朝日に掲載された記事で人々の関心を集め、また同時期、「不老長寿の新薬」として輸入され始め、1960年に国内での計画生産が始まりました。

効能については、冷え性、肩こり、耳鳴り、血圧改善、骨密度への作用(骨粗しょう症の予防)、インスリン抵抗性の改善(糖尿病)、不定愁訴、精神的疲労の改善、コレステロールの改善、抗菌活性に効果がある他、マウスでの実験ですが抗肥満効果、免疫系への作用(抗アレルギー作用、アレルギー反応抑制作用)の効果があるそうです。

一般的に蜂蜜とは異なって白いクリーム状で、発酵食品のような独特の酸味を有するので市販品はソフトカプセルや錠剤状にされて販売されていることがほとんどです。

蜜蝋

ミツバチの巣を構成する蝋を精製した物質です。蝋は働き蜂の蝋分泌腺から分泌され、最初は透明ですが、巣を構成し、使用されるにつれて花粉、プロポリス、幼虫の繭、蜂の排泄物などが付着していきます。

精製方法は太陽の熱を利用する陽熱法と、加熱圧搾法とがあり、効率の点では後者が優れています。

色はミツバチの運んだ花粉の色素に影響され、鮮黄色ないし黄土色をしています。

用途は、クリームや口紅等の化粧品の原料が最大用途です。

蝋燭にはパラフィンワックス製の蝋燭に融点を高めるために混ぜられる他、パラフィンワックスの発明以前の中世ヨーロッパの時代には教会用の蝋燭の原料として盛んに利用されました。

養蜂では巣の基礎、巣礎の材料になり、医療用にはサラシミツロウとして軟膏基剤や整形外科手術で切除した骨の断端への詰め物として利用されています。

花粉由来のビタミン類、鉄分やカルシウム等のミネラル類、蜜蝋本来の脂溶性ビタミン類といった栄養成分が含まれているので、健康食品として販売されています。

ヨーロッパではバターが普及する以前はバターと同じように調理用の油脂として利用され、古くから中世にかけて蜂蜜の精製方法が普及されていない時期は欧州、中東地域、中国周辺地域、アフリカ大陸、南北アメリカ大陸では蜂蜜と巣を一緒に摂取する形で食べられてきました。特にヨーロッパでは、蜜蝋のままでもカロリーの高い飢救食物(飢饉や災害、戦争に備えて備蓄、利用される代用食物)として利用されました。

その他、ワックス、クレヨン、接着剤、ガム、リトグラフ、エッチング、ろうけつ染め、初期の蓄音機の円筒型レコード、手紙や書簡を封印する封蝋等に用いられてきました。

プロポリス

ミツバチが木の芽や樹液、あるいはその他の植物源から集めた樹脂製混合物で、蜂ヤニとも呼ばれます。プロポリスとは、ギリシャ語で守るの「プロ」と都市を意味する「ポリス」から成り、プロポリス=都市(巣)を守るという意味を持ちます。

巣の隙間を埋める封止剤として使われ、6ミリ以下の小さな隙間を埋める目的に使い、それ以上の大きな空間は通常蜜蝋で埋められます。色は採られた植物によって変化しますが、基本は暗褐色です。

プロポリスは室温以上だと粘着性を持ち、低温では硬く、非常に壊れやすくなります。

プロポリスを集める性質を持つのは、木の洞等の中に巣を作るミツバチのうち、セイヨウミツバチのみで、二ホンミツバチを含むトウヨウミツバチ等はプロポリスを集めません。

同じ蜂産品であるローヤルゼリーや蜂蜜等に比べて採取量は少なく、人工的には創り出せない物質です。

ミツバチ達がこの物質を集めるのは、巣を雨や冷たい冬の風から守るためと養蜂家の間では考えられてきましたが、20世紀の研究によってプロポリスは、巣の構造強度の補強、振動の軽減、入り口をふさぐことによる防御力の向上、巣への病気や寄生者の侵入阻止、真菌や微生物の成長阻害、巣の中での腐敗防止(廃棄物は通常巣の中から捨てられますが、例として小さなトカゲやネズミが巣の中に侵入し、巣の中で死んだ場合、外へ運び出すことは不可能です。この場合、蜂はプロポリス内に死骸を閉じ込めることでミイラ化させ、無臭、無害化を試みます)に活用されています。

人間にとっての用途としては、化粧品、日焼け止め、消毒抗炎症剤、点眼剤、鎮静剤、ヘアスプレーの材料、バイオリンのつや出し等です。プロポリスと人間のかかわりは古く、ミイラを作る際の防腐剤として利用されてきました。古代ローマでは「天然の抗生物質」として利用され、東ヨーロッパでも伝統的に薬用として使われてきました。

今日では、プロポリスは健康食品(サプリメント)や飲料として利用され、その利用は拡大しています。

アフリカナイズドミツバチ

ミツバチはおとなしいというイメージを持たれると思いますが、ミツバチの中にも攻撃的な種類はおり、その一種がアフリカナイズドミツバチです。

アフリカミツバチとセイヨウミツバチが交雑して生まれた種で、熱帯での環境に適応しているとして改良を目的に1957年、ブラジルへ持ち込まれてその後、逃げ出した個体が先に導入されて帰化していたセイヨウミツバチと交雑して生まれたというのが背景です。

アフリカミツバチの特徴を引き継いでいるためか防衛本能が強く、敵とみなした存在は集団で攻撃し、逃げても長距離を追いかけてくるようです。

アフリカミツバチは、イタチ類の一種ラーテル等から巣を守ること、さらにアフリカでは養蜂の習慣がなく、品種改良も行われてきませんでした。(ミツバチがおとなしいのも品種改良を重ねて元々の獰猛な性質が少しずつ削られていったため)

攻撃の激しさから死者が出ることもあり、キラービー(殺人ミツバチ)と呼ばれています。

中央アメリカでは養蜂に使われ、特にプロポリスを集める能力に優れるので、中央アメリカで伝統的に古代から利用されてきたハリナシバチから切り替える養蜂家も多いですが、多くの地域で侵略的外来種とみなされています。

2002年、アフリカナイズドミツバチはブラジル国境を越え、南方向へはアルゼンチン北部、北方向へはメキシコを越えて、アメリカ合衆国のテキサス、アリゾナ、ニューメキシコ、フロリダ、カリフォルニア南部にまで勢力を広げます。

2005年6月、テキサス州境を越え、アーカンソー南部でも見つかり、2007年9月11日、ルイジアナ州農務局局長が、アフリカナイズドミツバチがニューオリンズにも定住していると発表しました。
最近では北部にわたったアフリカナイズドミツバチは現地のセイヨウミツバチとの交雑が進んで、攻撃性は下がってきているようです。

サンパウロ州では1965~72年、性質の温和なイタリアミツバチ(セイヨウミツバチの亜種)二万三千匹を地元養蜂家に配布して、アフリカミツバチの遺伝的要素を薄めようと努め、その成果もあってサンパウロ州を中心にアフリカナイズドミツバチの攻撃性が弱まっているという報告もあり、危険とされる地域はアメリカ合衆国南部に限られています。

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ミツバチの天敵

スズメバチ、特にアジアではオオスズメバチがおり、集団で襲われれば巣が全滅させられてしまうほどの脅威です。

しかし、アジアで進化したトウヨウミツバチはスズメバチへの対抗手段を獲得し、巣の中に侵入したオオスズメバチを大勢のミツバチで取り囲んで蒸し殺す戦法を持っています。

セイヨウミツバチも蜂球を作ることはできませんが、大群でモンスズメバチの腹部周辺を圧迫して呼吸を不可能にし、一時間ほどかけて窒息死させる「窒息スクラム」という対抗手段を持っています。

寄生虫にはハチノスツヅリガ、アカリンダニ等がいます。

ハチノスツヅリガ等のガは養蜂家から巣虫(スムシ)と呼ばれ、直接的にミツバチを襲う種類ではありませんが、蝋を原料とする巣を食べて成長するので嫌われています。(その際に蜂児を捕食する場合もあります)多くのスムシに寄生された巣の蜂の群れは巣を放棄、逃げ出すことがあります。

アカリンダニは、ミツバチの体内に寄生するホコリダニ科の一種で、クモの仲間で8本の脚を持つの特徴です。
蜂の気管内で生活しながら繁殖し、メスは5~10個の卵を産んで、孵化した幼虫は2~3週間で成虫になります。

このダニは、気管が開いている生後2週間以内の若い蜂に寄生して口吻を気管壁に刺し、蜂の血リンパを食糧とします。

100匹以上寄生して蜂を弱らせ、アカリンダニの寄生を原因とする症状にアカリンダニ症という病気があります。

寄生されたセイヨウミツバチ群の採餌能力、育児能力を低下させ、冬季に群が崩壊する事で知られています。

1904年にイギリス領のワイト島で発生し、同地のミツバチを壊滅させた他、イギリスからヨーロッパまで猛威を振るいました。

日本では家畜伝染病予防法に届出伝染病に指定され、対象動物はミツバチ。多くの場合無症状でまれに寿命の短縮が見られ、予防には殺ダニ剤が使用されます。

アカリンダニは大きさが175μm以下ととても小さく、顕微鏡を使わないと見ることができません。

他にミツバチに寄生する存在として、ミツバチ微胞子虫、ミツバチヘギイタダニ、ミツバチトゲダニ、ケーニガーミツバチトゲダニ等がいます。

巣や蜂に直接被害を与える存在ではないですが、スズメガの一種であるメンガタスズメは、花からではなくミツバチの巣から蜜を飲むように体の構造ができているため、頻繁に巣箱を訪ねてきます。蜂蜜を盗み飲みするので養蜂家からは嫌われています。

また、腐蛆病、チョーク病、バロア病、ノゼマ病等といった伝染病があります。

ミツバチの失踪

蜂群崩壊症候群というミツバチが原因不明の失踪をする現象が問題となっています。

失踪前の兆候として、幼虫を維持するだけの若い働き蜂がコロニーから不足または完全にいなくなるものの、コロニーの周囲に死骸がほとんど確認されない。

コロニーに巣房蓋のある巣房が残っている。この状態は羽化前の蛹が残っている状態で、ミツバチは通常、蛹がすべて羽化して巣房を出るまで巣を放棄しないため。

蜂蜜、花粉といった食料が備蓄されたまま。そのためこれらが短時間の間に他の蜂に奪われる事はなく、また食料が備蓄されていれば、蜂の巣を襲う天敵(蜂からすると害虫)例として、ハチノツヅリガやケシキスイからの攻撃も巣に籠ることで防御できるため、敵による攻撃も考えにくい。

コロニーの構成員は、砂糖水やタンパク質等の餌をあまり食べようとしない。

女王蜂は生存する(失踪しない)。

2006年秋頃からセイヨウミツバチが大量に失踪する現象が米国各地で発生。米国で飼われているミツバチの約4分の1に上りました。

ヨーロッパの養蜂家でも、スイス、ドイツでも小規模ながら報告例があり、他にもベルギー、フランス、オランダ、ポーランド、ギリシア、イタリア、ポルトガル、スペインにおいて同様の現象に遭遇しています。

また可能性のある現象が台湾でも2007年4月に報告されています。

1990年代の初めからヨーロッパ全域、フランス、ベルギー、イタリア、ドイツ、スイス、スペイン、ギリシャ、ポーランド、オランダ、オーストリア、イギリス等でも蜂群崩壊症候群が原因と断定はできていないものの、同様の消失は発生し、他にインドやブラジルでも報告され、日本でも類似した症例が報告されています。
蜂群崩壊症候群の原因については諸説あって正確なメカニズムは不明ですが、栄養状態と気候変動、農薬・殺虫剤等、病原菌と免疫機能不全、遺伝子組み換え農作物、ミツバチの貸し出しと移動農法、電磁波放射の影響、等と原因と思われる説が数多く挙がっています。

蜂群崩壊症候群による影響は深刻と見られ、花粉の受粉をミツバチに依存している農作物への影響を指摘されています。

ミツバチがほぼ独占的に受粉を行っている、カリフォルニアで栽培されているアーモンド等の作物においてはとりわけ重要です。

花粉媒介を行う昆虫は、米国作物の種類のおよそ3分の1の受粉を媒介しています。

その作物として、アーモンド、桃、大豆、リンゴ、セイヨウナシ、サクランボ、木苺、ブラックベリー、クランベリー、スイカ、メロン、胡瓜、苺があります。

当地の草花(野生種も含む)は、受粉には必ずしもミツバチは必要ないものの、商業レベルまでの規模における作物の受粉、生産には欠かすことができず、商業規模の農業は養蜂に強く依存しているといえるでしょう。

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おわりに

ミツバチと彼らもしくは彼女達が作る蜂蜜、ローヤルゼリー、プロポリスといった産品、受粉の助けとそれによって生産される農作物と私達との関わりの深さを改めて感じました。

スーパー、ドラッグストア、直売所に並んでいる蜂蜜、化粧品、健康食品等がまた違った物に見えるかもしれません。

日本ではミツバチによる死亡例はほとんど聞きませんが、攻撃性が強く死亡例も多いアフリカナイズドミツバチのような種類もいると知ると、世界というのは広いものだなあとも感じました。

蜂群崩壊症候群という蜂達が集団で行方不明になる現象は、聞くだけなら都市伝説かホラー映画、パニック映画にでもありそうな話ですが、農作物=食料への影響の大きさを考えると笑い話にはできないと感じました。

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