秋の味覚、柿(カキ)について

秋の味覚、柿(カキ)について

秋になり、枝になる柿の実が色づく季節となりました。固い実から柔らかい実と柿にも色々ありますが、甘くておいしいです。

秋になると出回るようになる果物で、時期になると何の気なしに食べていますが、柿についてどれくらい知っているのだろうと思い、調べてまとめてみました。

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柿とは?

カキノキ科カキ属の落葉樹の一種で、東アジア原産の固有種です。学術上ではカキノキ、果実はカキ、あるいは両方を含めてカキ(柿)と呼んでいます。

野生状のカキノキは、「ヤマガキ」とも呼ばれ、カキノキの語源は、赤木(あかき)、暁(あかつき)の略語説、「輝き」の転訛説と諸説ありますが、はっきりとはしていません。

英語で柿を表すパーシモンの語源は、アメリカ合衆国東部の先住民(昔はインディアン、現在はネイティブアメリカン)の言語であるポウハタン語で「干し果物」を意味する名詞「ペサミン」であり、先住民がアメリカガキの実を干して保存食としていたことに基づくそうです。

近年、欧米ではイスラエル産の「シャロン・フルーツ」という名前で柿が流通していて、この名前で呼ばれることが多くなっているようで、この名前は地名のシャロン平野に因むものだそうです。

分布・生育地

東アジア・中国の揚子江沿岸が原産とされ、日本の特産で、古くは中国から伝来し、日本で果樹として改良され、北海道を除いて青森県以南の本州・四国・九州までの各地で栽培されています。日本国外では、中国、朝鮮半島、済州島に分布します。

暖地には野性があり、ヤマガキと呼ばれ、カキノキは野生種のヤマガキから作り出された説と、古来からの在来種として存在していた説とがあります。

現在、世界各地で栽培されている柿の木の品種の大半は甘柿で、渋柿を甘くするために栽培するのは日本ぐらいとされています。

日本では昔から人里の民家近くに植えられていることが多く、よく手入れが行き届いて実もよくなることから、「柿の木は竈(かまど)の煙の当たるところを好む」、「根元を踏むとよく実がなる」などと言われています。

しかし農村の過疎化、高齢化の影響により、取られないまま放置される柿の実が増えて、ニホンザル、二ホンジカなどの野生動物の餌になっているという指摘があり、特にツキノワグマは柿の実に惹きつけられて人里に出没することが多くなったとされます。

特徴

落葉の小高木で、高さは4~10メートル。一年目の若枝には毛があり、基部には前年の芽鱗が残ります。樹皮は灰褐色で、網目状に裂け、枝は人の手が加えられないまま放置されると、自重で折れてしまうこともあり折れやすい木として認知されています。

葉は互生し、長さは8~15cmの楕円形から卵型をしていて先が尖り、表面にはやや艶があります。

花期は初夏(5月~6月)で、日本では5月の終わり頃から6月にかけて白黄色の花を付けます。

果期は秋から初冬にかけて(9月~12月)で、果実は柿と呼ばれ、品種のよって大小様々な形があり、秋に橙色に色づいて熟します。

果実は、タヌキやサルに、カラスなどにも食べられて、種子が人里近くの山林に運ばれて芽を出す場合もあります。

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利用

柿は弥生時代以降、桃や梅、杏子などとともに栽培種が伝来したとされます。鎌倉時代の考古遺跡からは立木の検出事例があり、この時代には甘柿が作られ、果実の収穫を目的とした植栽が行われていたと考えられています。

柿の実

柿の果肉にはタンニンが含まていて、これが渋みの原因となります。品種によって甘い柿と渋い柿があるのは、もともと渋が少ない品種だったり、柿のタンニンが水に溶けやすい(可溶性)か、そうでない(不溶性)かで分かれるためです。

柿のタンニンが水に溶けやすい状態だと味覚が渋く感じ、果実が熟すとタンニンが水に溶けない不溶性となるので渋みを感じなくなります。(※実が熟すことでアセトアルデヒドが水溶性のタンニンを不溶性に変化させます)

熟した実(熟柿)になると実は柔らかくなりますが、熟す前でも果実の中にアセトアルデヒドを生成させることで渋を抜くことができます。

食べ方は多様にあり、生食が基本ですが、完熟して崩れそうになっている実を賞味する場合や、渋柿を干し柿にしたり、柿羊羹などのお菓子の材料に加工したり、とあります。

果実に含まれる主な有効成分は、グルコース・マンニットなどの糖質10%、ペクチン、色素のカロチノイド、カキタンニン(柿渋)などがあります。

カキタンニンはビタミンPによく似た分子構造で、毛細血管の透過性を高めて高血圧を防ぐ効果があると言われています。

渋抜き

渋柿は渋みが強いので生食はできません。食べるには果肉の柔らかくなった熟柿(じゅくし)になるのを待つか、タンニンを不溶性にする加工を施す必要があります。

方法としては、アルコールに漬ける(樽柿)、アルコールを掛ける(35度のアルコールを少量振りかけ(20~30kgに湯呑一杯程度の量)、容器に密封して1週間置く)、乾燥させる(干し柿。あんぽ柿、市田柿も干し柿の一種です)、湯抜き(35~45℃の湯に浸ける。鹿児島県にある紫尾温泉など、温泉に浸ける例もあります)、米・米ぬかにつける、炭酸ガス脱渋(大量の渋柿を加工する業務用の方法。家庭でもドライアイスを使えば可能です)、容器にリンゴと一緒に入れ、密封して一週間置く、燻蒸処理(甲子柿)があります。

なお、加熱によって不溶化したカキタンニンが再び水溶性となり、渋くなる現象を渋戻りと言われます。

干し柿以外の加工食品

生食、干し柿以外には、菓子、ソフトクリーム、ジャム、酢(柿酢)、羊羹、果実酒(シードル、ワイン)、ゼリー、カレー、チョコレート菓子と様々あります。

日本料理では風呂吹きの他に、膾(なます)や和え物に使われ、くりぬいて器にしたものは柿釜と呼ばれます。

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栄養価

ビタミンC、ビタミンA、カロテン、糖質が豊富ですが、干し柿に加工するとビタミンCのほとんどが失われます。

柿渋

渋柿の汁を発酵させたものです。萼を除いた青い未成熟な実を砕いてすり潰して水を加え、2~3日の間放置し、布で汁を搾ったものを生渋(きしぶ)と呼ばれます。

柿渋は、生渋をビンなど密封できる容器に詰めて半年から一年ほど冷暗所に置いて保存・熟成して作られ、古いものほど珍重されます。

柿渋は、紙に塗ると耐水性を持たせることができ、和傘や団扇の紙に塗られていました。

柿渋の塗られた紙は渋紙と呼ばれ、また防腐用の塗料としても利用されました。

柿渋石鹸の原料にもなり、民間療法では柿渋を柿漆(ししつ)と称して、高血圧症予防に一日量で柿渋10㏄に水100㏄を加えて薄めて飲んだり、猪口一杯分をそのまま飲んだりする方法が知られています。

また、湿疹、かぶれの際には、柿渋を水で3倍程に薄め、ガーゼに含んで患部に湿布する用法が知られています。

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ヘタ

果実のヘタは生薬になり、柿蒂(してい、「柿蔕」とも書きます)と呼ばれます。

夏から秋にかけて未熟な実の萼(ヘタ)を採取、天日で乾燥させて調製したもので、しゃっくり止めに用いられます。

一日量8~10gを水300㏄~600㏄で煎じて、3回に分けて服用する用法が知られています。

ヘタには、ヘミセルロース、オレイン酸、ウルソール酸などの成分が含まれ、ヘミセルロース質が胃の中で凝固することから、しゃっくり止めに使われたと考えられています。

若葉にはビタミンC、K、B類、ケンフェロール、クエルセチン、カキタンニンといったミネラル分フラボノイドなどを多く含み、血管を強化する作用や止血作用を持つとされるため、柿葉茶にして飲用する等、民間療法に古くから用いられてきました。

 

5月ごろの若葉を採取して日干ししたものを「柿の葉茶」と呼び、咳、出血、高血圧症予防の薬効を目的にお茶として飲用する場合は、夏に採取した成葉を刻んで天日干しした葉(柿葉・しよう)を炒って急須に入れてお茶代わりとし、常用するのが良いとされています。

薬草としての葉は体を冷やす作用があることから、冷え症の人への飲用は禁忌とされています。

殺菌効果を活かして、押し寿司を葉で巻いた柿の葉寿司や、和菓子の添え物にされることもあります。

また、柔らかい初春の若葉は天ぷらにして食用になります。

木材

木質は緻密で堅く、家具や茶道具、桶や和傘などの材料として用いられます。

芯材が黒いものは特に珍重されますが、加工がやや難しく割れやすいため、建築材としては装飾用に限定されます。

また、かつてのゴルフクラブ(ウッド)のヘッドには柿材(特にアメリカガキ)を使った物が多く、パーシモンの名で呼ばれていましたが、現在ではカーボン、メタルなどの金属製のウッドが普及したためにあまり使われなくなりました。

柿の木は、堅い樹ではありますが、枝が突然折れる性質があり、昔から柿の樹に登る行為は極めて危険な行為とされています。

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文化

慣用句

「柿の花」は夏、「柿」、「熟柿」、「木守柿」は秋の季語で、特に「木守柿」はカキノキになった実の全てを収穫せず、木になったまま残しておく数個の柿の実です。

「こもりがき」、「きもりがき」、「こまもりがき」、「きまもりがき」と読まれ、この風習は来年の豊作の祈願であるとも、野鳥のために残しておくとも言われています。(※)

こけら落としの「こけら」は「柿」と書きますが、これは音読で「ハイ」と読む画数八画の漢字であり、画数九画の柿(かき・シ)とは全く異なる文字です。しかしながら、この二文字を別の字とする根拠は明確となっていません。

「桃栗三年柿八年」は、種を播いてから初めて実がなるまでに長い期間を要するところから。

「柿が赤くなると医者が青くなる」(※ヨーロッパでは「トマトが赤くなると医者が青くなる」)ということわざは、豊富なビタミン類とミネラルが栄養価摂取の低い時代では医者いらずの万能薬として重宝されたことから。

「瓜は大名に剥かせよ。柿は乞食に剥かせよ」は、瓜は実の中心が最も甘く、皮を厚く剥くと良い。一方柿は皮のすぐ下が最も甘みが強いので、極力皮を薄く剥くと良いとされます。

柿の花言葉には、「恵み」、「優美」、「自然美」があります。

地方行事としては「成木責め(なりきぜめ)」と呼ばれる、柿の毎年の豊作を祈願して行う行事があり、小正月の一月十五日に愛知県などの各地で行われるそうです。

二人一組で、一人が鉈の背などで樹皮を叩いたり、傷をつけ、その傷に小豆粥をすり込みます。

この時、「なるか、ならぬか、ならぬとちょん切るぞ」と脅すと、果樹の裏に隠れていたもう一人がカキノキに成りすまして「なります。なります」と答えるそうです。

おわりに

毎年、秋になると食べている柿ですが、調べてみると実を食べる以外にも使い道があり、防水材や防腐剤として使われたり、生活の道具の材料として、また、干し柿が地域の安定した収入源となった例もあり、人々の生活にも関わっていたことが分かりました。

見つけられた例は少なかったものの、海外でも柿を利用、食べることがあると知って、以外に思いました。

しかし、過疎化の影響で放置される柿が増え、それを餌にしようと野生動物が人里近くに出没したりする問題もある、ということは柿の実のなる木と里山というのんびりした風景とは裏腹に怖いものを感じました。

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